どうも、化粧品開発者のあひるです。
食中毒、今年もちらほら聞きましたね。
食中毒ですから、化粧品とは無関係・・・と思われるかもしれまんが、決してそうでもありません。
過去起きた食中毒事件を例に、化粧品との関わりをお話しようと思います。
結論
- 微生物を軽んじてはいけません
- 加熱殺菌すればOK!とは限らない
- 防腐剤フリーコスメは開封後なるべく早く使い切ろう(防腐剤が配合されている化粧品も同じです)
雪印2000年問題
読者さんの皆様の中には、覚えている人、覚えていない人、生まれていない人もいるかもしれません。
雪印が販売していた低脂肪乳を飲んだ人が、食中毒にかかったのです。
食中毒被害者は、約15,000人と、近畿圏を中心に大規模なものとなりました。
何が原因だったのか?
黄色ブドウ球菌による、毒素が原因です。
なぜ、そのようなことになったのでしょうか?
2000年当時、冬場、氷柱が落下して、電気室の屋根が破損。
それにより、電気系統が故障し、4時間程度の停電が起こったそうです。
通常通りなら、すぐさま冷却されるはずの脱脂乳原料が、おとそ9時間のあいだ、常温に放置されてしまいました。
製造し終えた脱脂粉乳には、社内基準を超える細菌が検出。
これが黄色ブドウ球菌だったのです。
しかしながら、この脱脂粉乳は出荷されたのです。
なぜ、出荷されたのか?
それは、再殺菌(加熱)を行い、黄色ブドウ球菌を死滅させたからです。
現場では、菌を死滅させれば問題ないという認識があったのでしょう。
脱脂粉乳はその後、別の工場にて、加工乳に加工し、出荷されました。
そして、大規模な食中毒に至ったのです。
ここに大きな落とし穴があります。
黄色ブドウ球菌は、色々と排出物を出す微生物です。
その中に、人に対して、有害な毒素が含まれていました。
その毒素は、加熱しても壊れない成分なのです。
かなりの耐熱性の成分だったのです。
菌は死んでも、毒素は残る。
加熱殺菌すれば、安全!
という認識が招いた事件だったのです。
黄色ブドウ球菌ってなに?
黄色ブドウ球菌とは、細菌の一種です。
ウイルスとは別ですので、間違えないように。
人や動物の皮膚、室内などの空気中に広く分布しています。
人の皮膚に存在しながら、害がないのは、存在している菌数がたかが知れているからです。
しかし、黄色ブドウ球菌が増えすぎると、当然お肌に悪影響を与えます。
ちなみに、アトピー患者の皮膚には、黄色ブドウ球菌の数が多いという研究結果も出ています。
細菌
- 自分で増殖できる生物
ウイルス
- 自分だけの力では、増殖ができない
- 生物かどうかは意見が分かれるところ
- ウイルスが増殖する場合、他の生物に寄生し、その生物の細胞を利用し増殖します。
ちなみに、化粧品にウイルスは繁殖しませんよ。
菌とウイルス🦠の違い
— あひる@化粧品開発者 (@ahiru_nonnbiri) 2019年11月30日
✔︎菌は、自分で増殖することが可能
✔︎ウイルスは、自分で増殖することができない
誰か(人や動植物)に寄生しないと繁殖できない
人は、菌にもウイルスにも感染します。
では、化粧品は?
菌しか繁殖しないのです😌#生物あれこれ#化粧品あれこれ
ですが、人には感染、繁殖します。
インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどが、良い例ですね。
また、ウイルスは湿度に弱い側面もあります。
ウイルスと湿度については、「【乾燥は肌の大敵!】肌に優しい湿度の作り方」という記事で書いています。良ければ読んでみてください。
化粧品業界の菌汚染事例
- 2019年 ハイスキン モイストジェル
- 2018年 ナノアクア ナチュラルソープ
- 2017年 オールインワンゲルBTC
毎年必ず、どこかしらの商品が菌に汚染され、回収などの行っています。
いずれも、健康被害どうこうまでの話にはなっておりません。
菌、微生物の存在はかなり身近なのです。
最後に
身近に存在している微生物。
微生物と関係を断つことは不可能です。
化粧品を開封してしまえば、菌に、微生物にさらされるのは確実です。
そんな世の中において、防腐剤フリーコスメが、じわじわ人気を集めています。
少々危険では?と思う次第です。
防腐剤フリーコスメの存在そのものを否定する気はありません。
それはそれで素晴らしい化粧品だと思います。
ですが、菌に対する抵抗力は確実に弱いので、開封後は速やかに使い切ることを推奨します。
古い物使って、なにか起きても自業自得です。
古いものと言えば、転売化粧品にも注意が必要ですね。
皆様も気をつけてくださいね。
転売化粧品に関しては、「【買っちゃダメ!!】転売ツールで化粧品を購入すべきではない理由」という記事で、防腐剤フリーコスメについては、「【化粧品のウソ、ホント】防腐剤フリーがいいの?」という記事で書いています。
自分の身、自分の肌は、自分で守りましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。