どうも、あひるです。
以前お話した、脂肪酸。
今回は、その塩類である脂肪酸塩についてお話しようと思います。
まとめ
- 脂肪酸塩には、ナトリウム塩(固形石鹸)、カリウム(液体石鹸)がある
- 脂肪酸に応じて、洗浄力や泡立ちが異なる。
- ラウリン酸は、皮膚刺激の懸念があるが、洗浄力や選択洗浄性の観点からも、現在でも使用される成分の一つ。
- パルミチン酸、ステアリン酸が主成分の石鹸を選択することがベスト(ただし、この2成分だけだと、泡立ちや泡のきめ細やかさは劣る)
脂肪酸のおさらい
脂肪酸、覚えていますでしょうか?
脂肪酸とは、
炭素(C)鎖に、カルボニル基(-COOH)がくっついた成分でしたね。
植物オイルにも含まれる成分です。
脂肪酸塩ってなに?
脂肪酸塩とは、脂肪酸に塩(ナトリウムやカリウム)がくっついた成分のことを指します。
脂肪酸塩には、ナトリウムタイプとカリウムタイプの2つがあります。
脂肪酸のナトリウム塩(石鹸)
- 脂肪酸を水酸化ナトリウム(NaOH)で、反応させたタイプ。
- 名前は、〇〇Naとなります。〇〇には脂肪酸が入ります。
- 例えば、ミリスチン酸Naなど。
- 脂肪酸Naは、一般的に固形であり、固形石鹸の主成分として使用。
脂肪酸のカリウム塩(カリ石鹸)
- 脂肪酸を水酸化カリウム(KOH)で、反応させたタイプ。
- 名前は、〇〇Kとなります。
- 例えば、ラウリン酸Kなど。
- 脂肪酸Kは、一般的に液体であり、液体石鹸の主成分として使用。
脂肪酸塩の洗浄力と刺激性
脂肪酸の種類によって、洗浄力は当然異なってきます。
- ラウリン酸
泡立ちが良好。皮膚刺激の懸念あり。
- ミリスチン酸
泡質が細かく、泡の持続性も良好。
- パルミチン酸
泡立ちが良好。
- ステアリン酸
泡立ちはやや劣る。乳化剤として使用されることもある。
- オレイン酸
ステアリン酸と同じ炭素数だが、不飽和脂肪酸のため、気泡力が高い。
- リノール酸、リノレン酸
洗浄力が悪く、石鹸に不向き。
脂肪酸塩の選択洗浄性と吸着性
選択洗浄性とは、ある成分はよく洗い流すが、別の成分はあまり洗い流さないという、洗浄剤の性質のことです。
これについて、ポーラさんが昔に調べてくださっております。
(引用:橋本文章、他(1989)「界面活性剤の皮膚への吸着性と洗顔料による選択洗浄性」)
以下は、その論文を読んで、あひるが解釈した内容になります。
選択洗浄の実験内容
疑似皮膚(ブタ)に、疑似皮脂組成を模倣し、人の肌とその皮脂組成を再現。
そこに、脂肪酸塩を使い洗浄、残存した皮脂組成を調べ、どの脂肪酸塩が、どの成分を効率よく洗浄するのかを調べたものです。
結果
ラウリン酸K、パルミチン酸K、ステアリン酸Kは、皮脂由来成分をよく洗浄する一方で、人のお肌に必要な細胞間脂質はあまり洗い流さない結果が得られています。
吸着性の実験内容
洗浄時間を、5分、15分、30分と変化させ、脂肪酸塩の肌への残存量を測定した。
結果
ラウリン酸K、オレイン酸Kは、皮膚への吸着性を示した。
一方で、パルミチン酸K、ステアリン酸Kは、皮膚への吸着量は少なく、洗浄時間が長くなっても、吸着量に変化はない。
このような結果から、ラウリン酸は、高い皮脂吸着性があり、洗顔後のつっぱり感や、お肌への刺激の要因になっていると考えられる。
しかし、泡立ちが優れているため、色んな石鹸に配合、使用されている。
一方、パルミチン酸、ステアリン酸は、良好な選択洗浄性を示しつつ、皮膚残存性が極めてい低い。石鹸を作る上で、最も良い脂肪酸と言えるでしょう。
但し、パルミチン酸、ステアリン酸のみの脂肪酸塩石鹸は、泡立ちや泡質が弱くなる傾向にあります。
最後に
いかがでしょうか。
かなり難しかったかもしれません。
液体石鹸や固形石鹸を選ぶ際の基準などにしてもらえると幸いです。
次回、石鹸について、もう少し掘り下げようと思います。
掘り下げたのは、こちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。