あひるの化粧品と戯れる日記

化粧品開発者が化粧品やそれに関する知識、情報などを発信していくブログです。たまに無関係なことも書きます。

【化粧品の基礎知識】精油と香料の違い、匂いの種類と香る順番

スポンサーリンク

宜しければ、読者登録、お願いしますm(_ _)m

  当サイトの記事には、広告・プロモーションが含まれます

 

 

どうも、化粧品開発者のあひるです。

今回は、基礎的なお話をしていこうと思います。

タイトル通り、精油と香料の違いです。

みなさん、精油と香料の違い、説明できますでしょうか。

当記事を読んでもらって、理解を深めてもらえれば幸いです。

 

 

 

今回のポイント!
  • 香料とは、合成香料と天然香料から成る
  • 天然香料の中に精油というカテゴリーがある
  • 合成香料だからお肌に悪いは間違い
  • 精油と香料の見分け方は簡単

 

 

香料とは?

香料とはなんでしょうか。

一般的なイメージだと、作られた匂い、合成品、肌に良くない、・・・などと言った声が聞こえてきますね。

実は、香料と言っても、「合成香料」と「天然香料」に分けられるんです。

大抵の人は、これさえ知らず、香料=悪い、なんてイメージになっているかと思います。

 

合成香料

合成香料とは、

  • 天然香料から単離、分離した単一の成分 「単離香料
  • 単離香料をベースに合成される 「半合成香料
  • 石油などから合成される 「合成香料

に分けることができます。

合成香料は、基本的に単一成分です。ですので、不純物なども少なく、刺激になる可能性も自ずと下がることになります。

天然香料をベースに作っても、合成の一種になっちゃいますし、単離しても合成の一種なんですよね。天然が良い!って人で、合成香料をひと括りにし、お肌に良くない!なんて言っている人は、何を持って、お肌に良くないと言っているのか、甚だ疑問ですね(笑)

天然由来でも合成香料のお仲間なんですから。

そもそも、きちんした知識がある人は、天然が良い!とか、合成は肌に良くない!、なんてこと言わないです。

 

天然香料

精油と香料の違い


天然香料は、

  • 植物から水蒸気蒸留や有機溶媒(エタノールなど)などを経て得られる 「植物性香料」=「精油」
  • 動物などから得られる 「動物性香料」

に分けることができます。

天然香料は、数十〜数百もの芳香性成分が含まれ、かつ、不純物も多く含まれています。それゆえ、独特の奥深い香りなどが楽しめるようになっています。しかし、複数の成分が含まれているということは、合成香料とは真逆で、刺激となり得る成分が含まれている可能性が高くなるということになります。

ですので、お肌が弱い方などは、精油、天然香料が配合されていない化粧品を使用する方が無難なのです。

一般市場に売られている化粧品で、敏感肌用と謳っている化粧品は、みな無香料かと思います。上記のような理由から、無香料、無精油になっているんですね。

 

動物性香料って聞き慣れないと思います。

動物性香料は、

  • ムスク(ジャ香) ジャコウジカ由来
  • シベット(霊猫香) ジャコウネコ由来
  • アンバーグリス(龍涎香) マッコウクジラ由来
  • カストリウム(海狸香) ビーバー由来

があります。今では、動物から採るのでなく、合成して作られています。絶滅の危機だったりしますし、動物愛護の観点からそうなっています。

2021年6月、アンバーグリスがたまたま見つかり、かなりの大金を手にしたというニュースが流れましたね。それだけ、希少価値が高いんです。

 

 

 

精油とは?

精油ってなんでしょうか。

皆さん、どんなイメージですかね。

天然由来で肌に良い成分、香りが優しい、などなどあるかと思います。

天然香料で説明しましたが、精油とは、植物から得られる成分のことを指します。ただし、植物から得られる成分全てを指すのではなく、芳香性、匂いのある成分だけです。

 

 

 

香料は本当に肌への害があるのか?

世の中、合成=悪

みたいな感じになってしまっていますからね。

合成香料=悪!、肌に悪い!

なんて思っておられる方もまだまだ多数いそうです。

結論から言えば、

合成香料=悪、それは間違いです。

精油でも、合成香料でも、肌に悪いものもあれば、その逆もあります。

一概に合成香料だけ悪い!なんてことはありえないです。

例えば、天然から得られた天然成分A、それと全く同じものを合成で作ったとしましょう。つまり、合成成分Bです。

成分的には、天然成分A=合成成分Bです。

全く同じです。それでも合成の方が肌に悪い!と言いますか?言えますか?

そんなことないですよね。

正直、その成分の由来、どこから得られたかが重要なのではなく、その成分がお肌に対して、どのような作用をするのかが、ものすごく大事なのです。

違いがあるとすれば、価格でしょうか。

何でもそうですが、天然となると、お高くなります。気候変動などによって、収穫高が激減してしまうこともありますし。また、その植物からの収率が良くなかったりする場合なども、とても高価になってしまいす。その点、合成ですと、安定的に、安価に製造することができたりしますので、供給面は安定し、価格面は天然よりはるかにお安い感じになります。

 

 

精油や香料を化粧品に配合する意味

精油や香料を配合する意味は、色々あります。

  • 化粧品の元々の匂いを打ち消すため
  • 化粧品を通して、心身のリラックス効果を得るため
  • 化粧品の抗菌作用
  • 肌への鎮痛、鎮静作用

などなどが挙げられます。

「匂い」、「香り」が、人に及ぼす影響って意外とたくさんあるんですよね。

香りで気分が安らいだり、アロマテラピーとかがそうですよね。

2000年に入ってからですが、香りとストレスに対する研究が行われています。

2008年、30人の健康な学生に、数学の問題を解かせ、ストレスをかけます。

そのストレスが、ラベンダーの香りによって、軽減されるか実験したところ、有意にストレスが低下したとする実験結果が得られています。

また、2011年には、夜勤労働者にラベンダーの香りを30分嗅いでもらったところ、ストレスが明らかに解消されたするデータもあります。

香りによるストレス解消には、まだまだ不明な部分は多いですが、効果のあることは間違いありません。ここで紹介したのは、ラベンダーだけですが、ご自身の好みの香りを嗅ぐことで、ストレス軽減につながるかもしれませんので、適度に好きな香りを嗅いでみてください。

逆に、香りで気分が悪くなったり、頭が痛くなったり・・・、というパターンもありますので、周りへの配慮、お忘れなく。

香水のきつい人、いますよね・・・。

あれは本当に勘弁してほしいです。鼻が曲がる。本当に気分が悪くなります。

 

 

 

香料は肌に良いのか?

ここまで読んでもらえたなら、おわかりですよね?

一概には、言えないんですよ。

人のお肌は千差万別ですから。

ただやはり、敏感肌の方は、香料や精油が配合された化粧品は、あまり使用しない方が、無難かと思います。

精油や香料は、基本的に分子が小さいのです。分子が小さいということは、肌への浸透も容易になりがち。まして、敏感肌の方は、肌のバリア機能が正常に機能していないので、精油や香料が肌のバリア機能を通過、刺激、炎症に繋がる可能性は十分にあります。肌が弱い方は、予め、サンプルなどで試しておくなどの事前準備をしておくことを推奨します。使用するなとは言いませんし、言えません。やはり気に入った匂いのものを使用するというのは、精神的に安らぎますからね。

 

 

 

精油と香料の見分け方

さて、ここまで精油や香料の基本的な定義などについて、お話しました。じゃあ、化粧品を見たときに、精油なのか、香料なのか、どうすれば見分けられるかお教えします。

 

香料の場合

そのまんまです。香料は、香料と記載されます。ややこしいですが、香料を何種類入れても、香料なんですよね。ですので、全成分からは、どんな種類の匂いが配合されているのか、全くわかりません。自分で匂って、好き嫌いを判断するしかないんですよ。

 合わせて読みたい

www.ahiru-nonnbiri-blog.work

 

精油の場合

精油の場合、少しややこしいですよね。

植物名+〇〇油となります。

例えば、ローズマリー葉油、ラベンダー油、レモングラス葉油、などがそうです。

しかし、ややこしいことに、植物オイルもそんな名前でしたよね?

ホホバ種子油、オリーブ果実油、マカデミア種子油・・・。

精油なのか、植物オイルなのか、区別するには、〇〇がどの部分を指しているかで考えてください。

精油は、匂うものです。匂いは外に出さないと意味ないですよね?なんのために植物が頑張って作っているのかわかりません。ですので、植物の外側にある名前が〇〇に当てはまれば、ほぼ精油です。

葉、果皮、花、などがそうです。

一方で、植物オイルは、植物の中の部位を指すことがほとんどです。

種子、果実、核、などです。

〇〇が何もつかないタイプもあるのですが・・・。

アボカド油(植物オイル)、ヤシ油(植物オイル)、ハッカ油(精油)、などが該当します。

ですが、先程書き記した分類でだいたいはカバーできますので、参考にしてみてください。

 合わせて読みたい

www.ahiru-nonnbiri-blog.work

 

 

 

香りの3階層

精油も香料も、複数の成分の組み合わせです。含まれている成分それぞれに匂いがあり、成分同士の相互作用により、揮発性、香ってくる順番などが左右されます。

一般的に、各成分の揮発性を3階層に分類して考えると、香りの特徴が理解しやすいとされています。ちょっとだけ見ておきましょう。

 

トップノート

香りの第一印象を与えるもので、最初の10分程度香る成分です。

最初に気化するので、分子は比較的小さく、沸点も低め。

香りの種類は、シトラス、グリーン、ハーバル、フルーティ系が多いです。

 

ミドルノート

香りの中核をなす成分で、つけてから、3時間ほど後まで香ります。

次のベースノートの香り始めは、やや不快に感じさせる成分もあるため、それらを和らげたり、香りの奥深さをもたせたりといった役割を担います。

香りの種類は、フローラル系が多い。

 

ベースノート

残りがに貢献する香り。12時間ほど後まで香ります。揮発しにくい分子から構成されます。

香りの種類は、ウッディ、ムスクなどがあります。

 

それぞれをまとめると、下記の表のようになります。参考までに。

精油のノートによる分類

トップノート ミドルノート ベースノート
レモン ローズ ローズアブソリュート(M)
オレンジ ネロリ(T) ジャスミンアブソリュート(M)
ベルガモット ゼラニウム サンダルウッド
ローズマリー カモミール フランキンセンス
ラベンダー(M) イランイラン(B) オレンジフラワーアブソリュート(M)
ペパーミント タイム クラリセージ(M)
ユーカリ   シダーウッド
ティーツリー(M)   バニラ
ライム    
マンダリン    
コリアンダー    

()内のT:トップノート、M:ミドルノート、B:ベースノートを意味します。 その領域にも香りが広がると言う意味です。

出典:香りの科学

 

香料のノートによる分類

トップノート ミドルノート ベースノート
リナロール テルピネロール cisジャスモン
酢酸リナリル ゲラニオール バニリン
リモネン シトロネロール、シトロネラール クマリン
カンファー フェニルエチルアルコール ムスク類

出典:香りの科学

 

最後に

精油と香料、その違いについて書いてみました。意外と知らないこと、多かったんじゃないでしょうか。

何度も、何度でも言いますが、天然=お肌に良い、合成=お肌に悪い、ではありません。

由来で、良いもの、悪いものを区別するのではなく、成分、中身でもって判断してもらえればと思います。

化粧品に関する基礎的なことは、他にも書かせてもらっています。是非、化粧品選びの参考にしてもらえればと思います。

また、当記事の参考にさせてもらったのは、下記の本です。理系でなくてもわかりやすく書かれてあり、大変参考になりました。ご興味ある方は、お買い求めください。

 

個人的な化粧品のランキングページも作成していますので、参考程度にどうぞ。

個人的ランキングページ

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

ホームへ戻る