どうも、化粧品開発者のあひるです。
以前書いた、カチオン界面活性剤の記事。
今度は、カチオンの逆、アニオン界面活性剤について、書いてみようと思います。
- カチオン活性剤に比べれば、低刺激
- 同じアニオン活性剤でも、洗浄力や刺激性は異なる
- 活性剤の種類を正しく理解し、化粧品選びに活かそう!
アニオン界面活性剤とは?
アニオン界面活性剤とは、水に溶かした際に、マイナス(ー)に帯電する界面活性剤のことを言います。
簡単な図にすると、下記のような感じになります。
カチオンとは逆ということにですね。
ですが、カチオンほど刺激はないです。
カチオン活性剤>>アニオン活性剤
こんな感じでしょうか。
主な役割は、
- 洗浄
- 乳化
どちらかと言うと、洗浄系に配合されることの方が圧倒的に多いです。
シャンプー、洗顔、ボディソープには、必ずといっていいほど配合されています。むしろ配合されていないと、泡立たない・・・(笑)
カチオン活性剤同様、構造によって、いくつか種類があります。
当然ですが、泡立ちや刺激性も異なってきます。
アニオン界面活性剤の種類
硫酸系
洗浄力がすこぶる高い部類です。
「SO4-」が結合している洗浄系成分です。
よくサルフェートフリーって聞きませんか?サルフェートって「硫酸」って意味なんですよね。
つまり、硫酸系界面活性剤がフリーって事になります。一般消費者からはすこぶる嫌われている成分でもありますね。
硫酸系活性剤の主な成分と見分け方
- ラウリル硫酸Na
- ラウレス硫酸Na
- ラウレス硫酸アンモニウム
- オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
見た通り、〇〇硫酸△△、〇〇スルホン酸△△、と書かれてあります。
ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naは、最近あまり見ないですね。
洗浄力が高すぎるので、嫌われてます。
各社、配合しないように努めていますね。もちろん、配合してる会社さんもありますけどね。
オレフィン〜は、〇〇硫酸に代わって登場した成分です。
〇〇硫酸と同様、高い洗浄力、気泡力を持っています。
また、〇〇硫酸と異なり、泡切れが早く、すすぎ性が良好です。
カルボン酸系(石鹸系など)
ヤシ油やパーム油などから得られた成分を用いて作られる成分。低温では洗浄力が低下し、イオンと反応して、石鹸カス(金属石鹸)を生じる側面がある。
洗浄力や泡立ちは豊かであり、割と低刺激性。アミノ酸系よりは刺激はあるが、硫酸系よりは低めと言った感じです。
カルボン酸系活性剤の主な成分と見分け方
- ヤシ油脂肪酸TEA
- ミリスチン酸K
- ラウレス-6カルボン酸Na(旧名:ラウレス-6酢酸Na)
上述したように、ヤシ油〇〇や、パーム〇〇は、カルボン酸系に属します。
また、石鹸でお馴染みの脂肪酸塩(ミリスチン酸Kやラウリン酸Naなど)もカルボン酸系です。
当然、表示名称末尾に、カルボン酸や酢酸と付けば、カルボン酸系になります。
例外はあるのですが・・・。
例えば、ココアンホ酢酸Naとかは、アニオン界面活性剤ではなく、両性界面活性剤ですからね。ややこしいですが、覚えておいてください。
アミノ酸系
今現在、洗浄系商品の主成分、主流を担っている成分です。ほぼアミノ酸系が主流ですね。
低刺激系の洗浄剤であり、泡立ちもそこそこ良い。
刺激を嫌う昨今の市場をうまく反映した洗浄成分です。
アミノ酸系活性剤の主な成分と見分け方
- ラウロイルメチルアラニンNa
- ココイルグルタミン酸K
ご覧のとおり、アミノ酸系は、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸がくっついています。その他、アスパラギン酸やタウリンなどもあります。
成分がアミノ酸系かどうかわからないってときは、化粧品の成分辞典のページで調べてみてください。
アミノ酸系活性剤をもう少し掘り下げてみた
アミノ酸系活性剤と一口に言っても、種類は様々。ちょっとだけ、深堀りしてみようと思います。
グルタミン酸系
アミノ酸系洗浄剤の中でも洗い上がりがしっとりするタイプです。泡立ちや洗浄力はやや控えめで、さっぱり感はとは真逆な感じ。
しっとり系、潤い系、まとまり重視系のシャンプーに多く配合が見られます。
アラニン系
アミノ酸系の中で、最もバランス(泡立ち、洗浄力、しっとりさっぱり具合)が良いタイプです。
グリシン系
アミノ酸系の中で、すっきりした使用感の洗浄剤です。グルタミン酸系と真逆の使用感です。石鹸に似た使用感と比喩されることもあります。
グリシン系は、中性〜アルカリ性で洗浄力を発揮する性質があるため、毛髪に対しては、きしみ、絡みを感じやすい側面があります。
逆に、泡切れ良好でさっぱりした使用感がありますので、ボディソープに適しているアミノ酸系活性剤とも言えますね。
タウリン系
泡立ちが弱いものの、きめ細やかな泡立ちを作ることが可能。適度な洗浄力、泡切れも良好、さっぱりした使用感です。
サルコシン系
近年はあまり使用されない成分です。旧表示指定成分にも指定されている成分でもあります。洗浄力や泡立ちは強い傾向にあります。
アスパラギン酸系
アミノ酸系洗浄剤の中でも新しい方、歴史の浅い成分です。泡立ち良好、洗浄力も適度にあり、すっきり、さっぱりした使用感となります。
アミノ酸に結合している脂肪酸とアルカリ成分
アミノ酸系活性剤には必ず、脂肪酸とアルカリ成分がくっついています。
例えば、「ココイルグルタミン酸K」の場合、ココイルという脂肪酸、グルタミン酸というアミノ酸、K(カリウム)がアルカリ成分となります。
アミノ酸が同じ場合、アミノ酸に結合している脂肪酸、アルカリ成分によって、洗浄力、刺激性、泡立ち、洗い上がりが変化します。
脂肪酸に関して
脂肪酸の種類のよって、洗浄力と刺激性が異なります。以下に簡単にまとめます。
ラウロイル ≧ ココイル > ミリストイル > ステアロイル
の順になります。
ラウロイルはラウリン酸、ココイルはヤシ油、ミリストイルはミリスチン酸、ステアロイルはステアリン酸のことです。
ヤシ油の脂肪酸組成の大半は、ラウリン酸になります。
アルカリ成分による差
- K;さっぱりタイプ
- TEA:しっとりタイプ
- Na:バランスタイプ
になります。
ちなみに、どの箇所が一番優先されるかと言うと、アミノ酸の種類です。
例えば、ラウロイルグルタミン酸Kと、ステアロイルメチルアラニンNaとえお比較した場合、個人差はもちろんありますが、ラウロイルグルタミン酸Kの方が、しっとり洗い上がるかと思います。
最後に
アニオン性界面活性剤、アミノ酸系活性剤について、解説してみました。
ざっくりで良いので、理解してもらえれば、これからの化粧品選びが楽しくなるかもしれません。
肌が弱い方は、硫酸系が主成分の洗浄系コスメは、使用を控える方が無難です。強すぎる洗浄作用は、皮膚への刺激になりかねませんからね。
他にも、化粧品の基礎知識に関して、色々書かせてもらっています。化粧品選びの参考になれば幸いです。
また、個人的な化粧品のランキングページも作成しています。参考程度にどうぞ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。