どうも、化粧品開発者のあひるです。
昨今、シワ改善を謳った化粧品、部外品が多数出てきていますので、ちょっとまとめてみようと思います。
シワに悩む女性は多いと思いますので、是非、当記事をお読みいただき、化粧品選びの参考にしてもらえれば、幸いかなと思います。
- シワ改善を標榜できる成分は、3つだけ
- シワ改善を標榜できないからと言って、シワ改善に効果がないわけではない
- 成分を理解しつつ、化粧品を選ぶことが大事
シワが発生するメカニズム
なぜ、シワができるのか?きちんと理解されている方は、そんなに多くないかと思います。
歳を重ねる、紫外線、などが主な原因と言われていますね。
ではなぜ、それらの要因によって、シワやたるみができていまうのか、順番にご説明していこうと思います。
年齢を重ねる
年齢を重ねると、基本的にシワやたるみは増えます。これは周知の事実かと思います。
肌のハリ感や柔軟性、弾力性があるのは、肌内部の真皮層がきちんとしているからです。
真皮層には、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンといった、肌の柔軟性、弾力性に関与する成分が存在しています。
つまり、これらの成分(ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン)がきちんと存在していれば、シワやたるみの発生になることはないのです。
では、これらの成分は、一体どこで生み出されているのでしょうか?
そう、「線維芽細胞」です。
線維芽細胞が元気に活動してくれるおかげで、コラーゲンやエラスチンが生まれ、肌にハリ感が出るのです。
しかし、年齢を重ねることによって、線維芽細胞の活力は、失われてしまいます。
すると、コラーゲンやエラスチンなどの成分は、新しく生み出されなくなり、次第にもろく、弱くなり、肌のハリを保つことができなくなってしますのです。
これが、シワやたるみの原因となるわけです。
紫外線
コラーゲンやエラスチンとった成分は、紫外線に弱い側面があります。
コラーゲンやエラスチンは、繊維状の成分です。紫外線が当たることで、繊維が切れ、役に立たなくなるのです。
役に立たないコラーゲンやエラスチンは、新しいものと交換されますが、交換するのにも限界はあります。線維芽細胞だって、そんなすぐに、作れるわけじゃないですからね。交換が追いつかなくなると、シワやたるみの発生につながるんです。
乾燥
加齢や紫外線以外にも、乾燥による小ジワもありますね。
これは、真皮がダメージを受けてシワになっているわけではありません。乾燥によって、皮膚、表皮がカピカピになって起こる小ジワなんです。
この場合、乾燥しないようにしっかり保湿することで、改善される場合がほとんどです。
ただし、乾燥を長期放置すると、皮膚が小ジワの形を記憶してしまい、完全なシワとなってしまいますので、注意してくださいね。
「保湿」って軽視されがちな気もしますが、保湿こそ重要なんですよ。保湿を侮ると、保湿に泣きますよってことです。
シワ改善成分の種類と作用機序
当たり前ですが、シワ改善成分は、上述したメカニズムに応じて作られています。
そして、「シワを改善する」と標榜できるのは、現時点で、3つの成分だけです。
ニールワン
成分名は、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾインアミノ酢酸Naです。
長いことこの上ないですね。私も覚えれんとです。長すぎて無理すぎです。
2016年に日本で初めて、「シワを改善する」という標榜を可能にした成分。ポーラが開発した成分です。当時は結構インパクトありましたよね。2016年以前は、「シワを改善する」っていうのは、謳えなかったんですよ。この年からそれが可能になり、各社シワ改善コスメを展開するに至っています。
肌のハリ、弾力に関与するエラスチンを分解する好中球エラスターゼの働きを抑制する成分です。
それにより、エラスチンの分解を防ぎ、シワ改善、シワを生み出さないという役割を担います。当然、シワだけでなく、ハリ、弾力の改善にも効果が見られる成分でもあります。
参考:http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20191008_1.pdf#search=%27ニールワン+効果%27
ちなみに、ニールワンの名前の由来ですが、
ニールワン(NEI-L1)は、Neutrophil(好中球)、Elastase(エラスターゼ)、Inhibitor(阻害剤)、License(ライセンス)、1(第1号)からとって、つけた名前です。
レチノール
長年、資生堂が研究し続けていた成分です。同じく2016年に、「シワを改善する」という効果効能を取得、製品を展開しています。レチノール自体は、新規成分ではなく、様々な化粧品に使用されてきた実績ある成分です。
表皮のヒアルロン酸の産生を高めることで、シワにアプローチした成分です。ヒアルロン酸は、水分保持や皮膚の弾力向上などに関与していますし、加齢により減少することが知られています。レチノールによって、ヒアルロン酸を増やし、シワを改善するということになります。
レチノールの難しいところは、安定して商品に配合することが困難な点です。熱や光、酸素に対して弱いという側面があり、簡単に分解してしまいます。資生堂は、その辺りの弱点を克服しつつ、製品化しているが、すごいところです。
また、光に弱い点から、日中、日に当たる場合など、レチノール配合コスメの使用はあまり適さないといったデメリットもあります。さらに、レチノール高配合コスメを使用すると、レチノール反応というのが見られることがあります。皮がポロポロむける、赤みが出る、といったことがあります。敏感肌などの肌が弱い方には不向きな成分でもあります。
参考:https://corp.shiseido.com/jp/ir/pdf/ir20170228_342.pdf#search=%27レチノール+シワ+データ%27
ナイアシンアミド
コーセーが有効成分として申請、2018年に取得した成分です。同じく「シワを改善する」が謳えます。ナイアシンアミド自体は、古くから使用されている成分です。美白成分としても、用いられる成分でもありますね。
コーセーから初めて申請された成分ですが、今では各社、各メーカーから、ナイアシンアミド配合コスメが発売、展開されています。
シワ改善に関するデータや作用機序は公開されていないので、何とも言えないですが、表皮と真皮への作用があるみたいです。データは公開されていないだけで、きちんとあります。なければ、医薬部外品の有効成分として、お国から認可されるわけないですからね。
その他のシワ改善成分
上記で書き記した成分は、医薬部外品の有効成分として、国から認可、許可が降りている成分です。
下記に記すのは、有効成分としては謳えないがシワ改善、抗シワとして、作用のある成分をまとめています。
今使用しているコスメ、これから探そうとしているコスメに配合されているか、確認してみるもの良いかもしれませんね、
余談ですが、部外品の有効成分の認可をもらうためには、莫大なお金と時間がかかります。前例があれば、意外とそうでもないのですが、前例がない、例えば、新規成分であったり、新規の効果効能であったりを、認めてもらおう、認可してもらおうと思ったら、かなりの試験を実施しないといけません。年単位は当たり前。お金も莫大です。大手企業なら問題ないかもですが、中小企業だとそうはいきません。そのコストに見合うだけのリターンがあれば、申請するでしょうが、そんなリターン、確実にある保証はどこにもありませんからね。わざわざ部外品の有効成分の認可を得る必要は、、、微妙ですよね。しかも、必ず認可されるわけでもないですし。カネボウのロドデノールの一件で、かなり厳しくなってますからね。
また、医薬部外品は、日本オンリーの制度です。海外では、意味をなさないんですよ。なので、海外で開発された成分は、部外品に対応していないものも多数です。
そんなもろもろの事情を鑑みて、有効成分として認可を取りにいくかどうか判断する必要があります。ですので、有効成分として認可されていない=シワに効果がない、とは言い切れないんです。現に、有効成分として認められていなくとも、シワに効果のある成分は、いくつかありますからね。
バクチオール
ここ最近、需要、ニーズが高まっている成分です。
第二のレチノールと呼ばれたりしています。それでいて、天然由来成分、ナチュラルコスメなどに配合されています。
レチノールは、光などに弱い側面がありましたが、バクチオールにそのような性質はなく、すこぶる安定性の高い成分です。また、レチノールは、上記で書いたようにレチノール反応が起きたりします。しかし、バクチオールは、レチノール反応は起きない成分で、肌が弱い方、敏感肌の方などでも使用することが可能となっています。
アセチルヘキサペプチド−8
結構有名な成分かと思います。アルジレリン(ARGIRELINE®)という原料名、聞き覚えないでしょうか?表情ジワに効果がり、毎日2回、0.05%アルジレリン配合クリームを塗ることで、シワの深さが改善したデータが取られています。「塗るボトックス」なんて呼ばれたりもしています。
ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド
こちらも有名です。シン-エイクという原料です。4%シン-エイク配合コスメを毎日2回、28日間続けたところ、シワが改善されたデータが取られています。
蛇毒に存在する筋肉の収縮を抑制する成分の構造を元にして作られた成分です。
パルミチン酸レチノール
名前の通り、レチノール誘導体(ビタミンA誘導体)です。レチノールと同じ作用機序を持ちます。
レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸とトコフェロールを結合させた成分です。コラーゲン、ヒアルロン酸の合成を促進する働きがあります。
レチノイン酸トコフェリル1%配合クリームで、約3ヶ月、毎日2回塗ったところ、シワの改善が確認されています。
フラーレン
フラーレンは、炭素がサッカーボール状に形作られた成分。フラーレンを発見した人には、ノーベル賞も授与されています。
ここ最近、植物由来フラーレンが登場。今まで合成、石油由来だったので、ここから需要が少し伸びそうな気も。
1%配合コスメで、約2ヶ月使用してもらうと、シワの改善が見られたというデータがあります。
メバロノラクトン
コエンザイムQ10、コレステロール、セラミドと言った、お肌に必須な成分の前駆体です。表皮水分量の増加、キメの改善、などの効果があり、エイジングケアコスメに配合されることもあります。
これら以外にも、植物エキスとかもありますが、書けばキリがないのでこの辺で。
最後に
シワ改善に関わる成分について、解説しました。
何度も言っているかと思いますが、使い続けることが大事です。即効性のあるシワ改善コスメはないです。
一部、即効性を謳った化粧品もありますが、あれは、物理的にシワを伸ばしているんです。ポリマーなどの粘剤で、シワの伸ばす、あるいは、シワを埋める、などして、あたかもシワがなくなったように見せかけています。当然、洗い流せば、元通り。もちろん、悪いとは言いません。大事な商談、プレゼンがあり、少しでも見た目を良くしたいと思うのは、誰しも当然です。そんなときに使用すれば、良いかと思います。
それと同時にシワ改善コスメ、肌内部から働きかけてくれるコスメを併用するのが大事ですね。徐々に改善が見られるかもしれません。2ヶ月か、あるいは、それ以上使い続けないと、効果の実感はないかもしれません。化粧品とは、そういうものです。お薬ではないので、作用が緩和でなくてはいけませんからね。
是非、根気良く、使い続けて見てください。
他にも、成分について、書いていますので、参考になれば幸いです。
余談
よく、シワ改善コスメ、どれが良い??みたいな媒体を複数見ますが、意味ないですよね。
だって、作用する箇所が違いますから。そして、シワの原因なんて、人それぞれです。一概にどれが良いなんてこと、ありませんし、あり得ないです。
実際に使用してみて、合っているか、合っていないか、それに尽きるのかなと思います。
まぁ、化粧品を比較することを悪いとは言いませんが、意味はなく、肌質などは人それぞれ。結局ご自身で良い化粧品を見つけるしかないんですよ。
当ブログは、良い化粧品探しの一助になればと思い、色々と書かせてもらっています。どれくらいの方に、どのくらい参考になっているかは全くわかりませんが、これからもコツコツと書き続けていけたらなと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。