どうも、あひるです。
今回は、化粧品の全成分、それに類するお話をしようと思います。
長くなるかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
皆さんは、化粧品を購入する際、何を基準に選ばれていますか?
- 好みのメーカー、ブランド
- コンセプト
- 使用感
などなど。
人によって、選び方は様々だと思います。
選び方の一つに、全成分を気にされる方もいるんじゃないでしょうか。
気にはしているが、いまいちルールがわからないという人もいるでしょう。
そのような人のために、わかりやすく説明していこうと思います。
そもそも全成分ってなに?
化粧品の全成分を気にしたことのない人には、さっぱりなことかもしれません。
化粧品の全成分とは、その化粧品の中身が、どの成分からできているのかを教えてくれる表記になります。
例えば、サクセス モーニングヘアウォーター 髪さらミスト
(私が愛用している、寝癖直しです(笑))
容器の後ろを見てみると、成分がいくつか書かれています。
この化粧品は、ここに表記されてある成分によって、作られていますよー
ってことになります。
この表記、昔からあったわけではありません。
全成分表示が始まったのは、2001(平成13)年4月からです。
それまでは、全ての成分を記載する必要がなく、国(薬機法、旧薬事法)が指定した成分が配合されている場合に限り、その成分名を記載するだけというルールでした。
当時はこれを、「表示指定成分」
現在では、「旧表示指定成分」
と呼ばれています。
旧表示指定成分
1980(昭和55)年に、厚生労働省は、102種類に香料を含めた103種類、アレルギーを引き起こす可能性があるものとして、薬機法(当時は、薬事法)によって、製品への表示を義務付けました。
先程も書きましたが、
これを「表示指定成分」
現在では、「旧表示指定成分」、「旧表」
などと呼ばれています。
旧表示指定成分は、以下の成分です。
No. | 成分名 | 主な配合目的 |
---|---|---|
1 | 安息香酸及びその塩類 | 防腐剤 |
2 | イクタモール | 収れん剤 |
3 | イソプロピルメチルフェノール | 防腐剤 |
4 | ウンデシレン酸及びその塩類 | 防腐剤 |
5 | ウンデシレン酸モノエタノールアミド | 防腐剤 |
6 | エデト酸及びその塩類 | キレート剤 |
7 | 塩化アルキルトリメチルアンモニウム | 帯電防止剤 |
8 | 塩化ジステアリルジメチルベンジルアンモニウム | 帯電防止剤 |
9 | 塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム | 帯電防止剤 |
10 | 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム | 帯電防止剤 |
11 | 塩化セチルトリメチルアンモニウム | 界面活性剤 |
12 | 塩化セチルピリジニウム | 防腐剤 |
13 | 塩化ベンザルコニウム | 防腐剤 |
14 | 塩化ベンゼトニウム | 防腐剤 |
15 | 塩化ラウリルトリメチルアンモニウム | 界面活性剤 |
16 | 塩化リゾチーム | 酵素類 |
17 | 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン | 防腐剤 |
18 | 塩酸クロルヘキシジン | 防腐剤 |
19 | 塩酸ジフェンヒドラミン | 消炎剤 |
20 | オキシベンゾン | 紫外線吸収剤 |
21 | オルトフェニルフェノール | 防腐剤 |
22 | カテコール | 抗酸化剤 |
23 | カンタリスチンキ | 毛根刺激剤 |
24 | グアイアズレン | 紫外線吸収剤 |
25 | グアイアズレンスルホン酸ナトリウム | 消炎剤 |
26 | グルコン酸クロルヘキシジン | 防腐剤 |
27 | クレゾール | 防腐剤 |
28 | クロラミンT | 防腐剤 |
29 | クロルキシレノール | 防腐剤 |
30 | クロルクレゾール | 防腐剤 |
31 | クロルフェネシン | 防腐剤 |
32 | クロロブタノール | 防腐剤 |
33 | 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン | 防腐剤 |
34 | 酢酸dl-α-トコフェロール | 抗酸化剤 |
35 | 酢酸ポリオ騎士エチレンラノリンアルコール | 界面活性剤 |
36 | 酢酸ラノリン | 基剤 |
37 | 酢酸ラノリンアルコール | 基剤 |
38 | サリチル酸及びその塩類 | 防腐剤 |
39 | サリチル酸フェニル | 紫外線吸収剤 |
40 | ジイソプロパノールアミン | 中和剤 |
41 | ジエタノールアミン | 中和剤 |
42 | シノキサート | 紫外線吸収剤 |
43 | ジブチルヒドロキシトルエン | 抗酸化剤 |
44 | 1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン(別名DMDMヒダントイン) | 防腐剤 |
45 | 臭化アルキルイソキノリウム | 防腐剤 |
46 | 臭化セチルトリメチルアンモニウム | 界面活性剤 |
47 | 臭化ドミフェン | 防腐剤 |
48 | ショウキョウチンキ | 毛根刺激剤 |
49 | ステアリルアルコール | 基剤 |
50 | セタノール | 基剤 |
51 | セチル硫酸ナトリウム | 界面活性剤 |
52 | セトステアリルアルコール | 基剤 |
53 | セラック | 皮膜形成剤 |
54 | ソルビン酸及びその塩類 | 防腐剤 |
55 | チモール | 防腐剤 |
56 | 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム | 洗浄剤 |
57 | チラム | 防腐剤 |
58 | デヒドロ酢酸及びその塩類 | 防腐剤 |
59 | 天然ゴムラテックス | 基剤 |
60 | トウガラシチンキ | 毛根刺激剤 |
61 | dl-α-トコフェロール | 抗酸化剤 |
62 | トラガント | 増粘剤 |
63 | トリイソプロパノール | 中和剤 |
64 | トリエタノールアミン | 中和剤 |
65 | トリクロサン | 防腐剤 |
66 | トリクロロカルバニリド | 防腐剤 |
67 | ニコチン酸ベンジル | 消炎剤 |
68 | ノニル酸バニリルアミド | 毛根刺激剤 |
69 | パラアミノ安息香酸エステル | 紫外線吸収剤 |
70 | パラオキシ安息香酸エステル | 防腐剤 |
71 | パラクロルフェノール | 抗酸化剤 |
72 | パラフェノールスルホン酸亜鉛 | 収れん剤 |
73 | ハロカルバン | 防腐剤 |
74 | 2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール | 紫外線吸収剤 |
75 | ピロガロール | 防腐剤 |
76 | フェノール | 防腐剤 |
77 | ブチルヒドロキシアニソール | 抗酸化剤 |
78 | プロピレングリコール | 保湿剤 |
79 | ヘキサクロロフェン | 防腐剤 |
80 | ベンジルアルコール | 調合香料 |
81 | 没食子酸プロピル | 抗酸化剤 |
82 | ポリエチレングリコール(平均分子量が600以下の物) | 基剤 |
83 | ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩類 | 界面活性剤 |
84 | ポリオキシエチレンラノリン | 界面活性剤 |
85 | ポリオキシエチレンラノリンアルコール | 界面活性剤 |
86 | ホルモン | ホルモン |
87 | ミリスチン酸イソプロピル | 基剤 |
88 | 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン | 防腐剤 |
89 | イミダゾリンウレア | 防腐剤 |
90 | ラウリル硫酸塩類 | 洗浄剤 |
91 | ラウロイルサルコシンナトリウム | 防腐剤 |
92 | ラノリン | 基剤 |
93 | 液状ラノリン | 基剤 |
94 | 還元ラノリン | 基剤 |
95 | 硬質ラノリン | 基剤 |
96 | ラノリンアルコール | 基剤 |
97 | 水素添加ラノリンアルコール | 基剤 |
98 | ラノリン脂肪酸イソプロピル | 基剤 |
99 | ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール | 基剤 |
100 | レゾルシン | 防腐剤 |
101 | ロジン | 皮膜形成剤 |
102 | 医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令 | 化粧品用色材 |
ただ、これらの指定成分、なぜこの102(103)種なのか、よくわかりません。
これら以外にも、危険な成分はあるのですが・・・。
当時は、基準が曖昧だったのでしょうか。
水酸化Naや水酸化Kなどは、化粧品に配合されたりしますが、この成分単体だと、危険物以外の何者でもありません。強アルカリ性の成分ですからね・・・。これ単体だと、皮膚が溶けてしまいます。それが書かれていない・・・。
何とも面白い?、変な基準ですね。
だからと言って、旧表示指定成分を軽んじているわけではありませんし、中には避けておくべき成分はあります。
ただ、そんなに過剰になるほど意識しなければならない成分でもない
ということを頭の片隅にでも記憶してもらえればと思います。
危険な成分は、各メーカーの良心に従い、排除されていますので、ご安心を。
全成分のルール
ここまで、全成分についての概要をお話してきましたが、ここからが全成分のルールになります。
- 全成分は全て記載すること
- 配合量の多い順で記載
- 配合量が1%以下に関しては、順不同
- 香料は一つの成分として、香料と記載
- 着色剤は、末尾にまとめて記載(配合量無関係)
- キャリーオーバー成分は、記載の必要がない
ここでもう一度、先程の製品の全成分を見てみましょう。
水、エタノールまでが、1%より多い成分になります。
シラカバエキスからは、1%以下だと推察します。
1%以下を見分けるには、少々コツが必要です。
植物エキスやそれに近いような成分
例えば、〇〇エキスなどは、1%を超えて配合されることは、まずありません。
ですので、〇〇エキスなどが出てきた場合、ここから1%以下の順不同と考えてもらっても大丈夫です。
つまり、それより上が、多いもの順であり、その化粧品を構成する基本成分ということになるのです。
ここでは、水とエタノールがこの化粧品を構成する主な成分となります。
他の商品も見てみましょう。
こちらは、無印良品が出されている化粧水です。
全成分は、
水、DPG、グリセリン、PEG-32、ジグリセリン、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、ヒアルロン酸Na、アラントイン、グレープフルーツ種子エキス、ポリクオタニウム-51、スベリヒユエキス、BG、フェノキシエタノール、PCA-Na、クエン酸Na、クエン酸
ジグリセリンまでが1%を超える成分かと思います。
この製品の主成分は、4つですね。
他は、1%以下の成分です。
よく、〇〇エキスがこれでもか!ってくらいに何種類も配合されてある製品がありますが、中身を見てみれば、なんてことはない、全て1%以下の配合量でしかないのです。
〇〇エキスがたくさん配合されているから、お肌にも良いんだ!
なんて考えは、間違いです。
その分だけ、不必要な成分も配合されていますので、肌への刺激、影響も懸念しなければなりません。特に植物エキスはその典型例です。詳しくは、下記の記事にて書いています。良ければ参考にしてみてください。
「【化粧品のウソ、ホント】オーガニック(天然)化粧品が良いと言うけれど?」
配合量が多いのは、最初に書かれてある成分だけです。
それが、良い成分なのか?
刺激になるような成分ではないのか?
そういった点を確認されると、ご自身の肌に負担の少ない化粧品を見つけることができると思います。
キャリーオーバー成分とは?
キャリーオーバー成分とは、製品自体に配合されているが、製品自体にその影響がない成分のことです。
???
少々難しいですね。
例えばですが、
原料の防腐目的で、フェノキシエタノールが0.5%配合されていたとしましょう。
その原料を製品に0.1%配合したとします。
すると、製品中でのフェノキシエタノールの濃度は、
0.1% × 0.5% / 100 = 0.0005%
となります。
すごく微量ですね。
これだけ微量ですと、製品中に存在していても、防腐作用は見込めません。
ほとんど効果がないのです。
実際のところ、フェノキシエタノールは、0.3%以上配合しないと意味が、効果がありません。
つまり、製品にこれだけ微量しか存在していない=意味がない
→表示しなくても良い
となるのです。
このような成分をキャリーオーバー成分と言います。
香料の表示
全成分上に、香料と記載がある場合、考え方が2種類あります。
上記のいずれも、香料としか記載しません。
ですので、何種類の香料が配合されているのかはわからないのです。
ここに関しては、気にしても仕方ありません。
香料が嫌な人は、無香料、もしくは、精油で賦香された製品を選べば良いのです。
スキンケア、ヘアケアで香料が1%を超えることは、ほぼありません。
香水は別ですが・・・。
実際に嗅いでみて、ご自身の好みの香りを選ばれるのが一番ではないでしょうか。
香料については、「【化粧品の基礎知識】精油と香料の違い」という記事で書いています。
最後に
全成分に関して、長々と説明させていただきました。
ざっくりとルールがわかれば、選ぶ化粧品のことが、少しわかるのではないでしょうか。
愛着が湧いたり、その逆も然り。
色んな情報が蔓延していますから、正しい知識を持って、間違った情報に惑わされないようにしてもらえればと思います。
- 化粧品の全成分を見れば、その化粧品の構成成分がわかる
- 〇〇エキスなど、それに近い成分の1%以上配合は稀である
- エキス類の種類が多く含まれている=良い化粧品ではない
- 香料はいくつ配合されようと、香料としか記載されない
最後まで読んでくださってありがとうございました。
これからも、役に立てるような情報?を発信していきます!!
医薬部外品の表示ルールについては、「【化粧品の予備知識】医薬部外品の全成分表示」という記事で書いています。
お肌に関して、基礎的なことも書いていますので、良ければ参考にしてみてください。
「【お肌の基礎知識】皮膚の基本機能と構造 表皮・真皮・皮下組織」
最後までお読みいただき、ありがとうございます。