あひるの化粧品と戯れる日記

化粧品開発者が化粧品やそれに関する知識、情報などを発信していくブログです。たまに無関係なことも書きます。

【環境問題】廃プラ問題と化粧品業界

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どうも、化粧品開発者のあひるです。
昨今問題となっている「プラスチック問題」
特に海洋プラスチック問題は、かなり深刻です。
今回は、その辺りを中心に、化粧品を交えながら、お話しようと思います。
 
 

海洋プラスチック問題

海洋ごみ問題

  • 海に浮かぶ大量のプラごみ
  • プラごみを食べて亡くなる海の生物たち
一度はニュースなどで、見聞きしたことがあると思います。
社会問題ですね。
 
プラスチックごみ削減に向けた取り組みが、世界で加速しています。
海洋ゴミに対するG20行動計画なるものが、先々月大筋合意となっています。
内容をいくつか抜粋すると、
  • 再利用、リサイクルの促進
  • マイクロビーズ、レジ袋の使用削減
などなど。
 
すでに、小売業界では、レジ袋の有料化などが進められていると思います。
東京都でも、2020年のオリンピックに向けて、色々と動いているみたいですね。
 
では、化粧品業界はどうなのでしょうか?
 
 
 

日本の化粧品業界のプラスチック対策はどうなのか?

日本の廃プラ問題

はっきり言って、あまり進んでいない状況ではないでしょうか。
これだけ騒がれているのに、どうしてでしょうか?
 
理由は、いくつかあります。
  • 美を追求する業界
  • 容器の種類が多種多様
  • 容器の代替え素材
  • 化粧品メーカーの乱立
などが挙げられるでしょう。
少し掘り下げてみましょう。
 
美を追求する業界
この理由が、プラスチック削減の大きな足かせです。
業界ならではなので、少々仕方がないのかもしれません。
化粧品業界は、華やかな業界です。
女性を美しくするための業界と言っても、間違いないでしょう。
 
当然、化粧品容器も、見た目がキレイ、美しいものが注目されます。
当たり前のことです。
 
中身が同じでも、
  • 地味な容器の化粧品
  • 見た目がきれいな容器の化粧品
どちらを購入しますか?
絶対後者ですねよ。
 
あひるも、以前書いた、「【騙されないでね】and and シャンプー&トリートメント 成分分析」という記事に、こう書きました。
化粧品=中身+容器、だと。
 
ですので、容器(プラ)の見た目が重視され、環境への配慮は後回しとなるのです。
かなり難しい問題です。
 
容器の種類が多種多様
化粧品容器を見る機会が多い方は、おわかりかと思いますが、化粧品の容器って、同じものあまり見ないですよね?
 
同じ会社でも、容器の形を変えて、差別化を図っているんです。
当然です。
化粧品は、容器も重要視されるんですから。
高級化粧品なんかですと、奇抜な容器で、目を引こうとします。
そのため、容器の種類が膨大に増え、多種多様となります。
つまり、容器製造に、コストと手間がかかるのです。
その一つ一つを、さらに環境に配慮した容器に変更・・・。
どれだけのコストがかかるのやら・・・。
まして、環境に配慮した容器は、見た目が悪くなる傾向にあります。
これがまた、問題をややこしくする・・・。
 
容器の代替え素材
容器を形成する素材は、いくつかあります。
  • PET(ペット)
  • PS(ポリスチレン)
  • PE(ポリエチレン)
などなど。
どれも、今現在問題となっているプラごみの元となっている素材です。
 
これらは、形成が容易で、透明感を出したり、キレイに色をつけたりすことも可能です。
高級感を演出することができるのです。
そして何より、耐久性が高いのです。
 
価格帯の安い化粧品なら、容器も安っぽく見えても良いのかもしれません。
しかし、価格帯の上がった化粧品で、容器が安っぽいのは、ご法度ですね。
受け入れてくれるお客様は、かなり限られるでしょう。
それだけ、化粧品の容器というのは、購買に関して、重要なファクターを占めているのです。
 
PETやPEに変わる、環境に配慮した素材が、なかなかないのです。
ないとは言いません。
あるにはありますが、
耐久性が悪い、安っぽく見える
など、化粧品の容器としては、使いづらいのが現状です。
 
化粧品メーカーの乱立
正直言って、化粧品業界は、儲かるのだと思います。
利益率が良いからです。
そして、メイドインジャパンのコスメは、海外で人気なのです。
 
そんな経緯から、新規参入する会社が多数存在します。
別に自社工場を持つ必要はないのです。
製造してもらって、自分の会社の名前で、世に売れば良いわけですから。
こういうのを、OEMと呼びます。
※OEM:original equipment manufacturerの略。
自社製品を製造する別会社という意味です。
 
新規参入会社は、デザインや見た目にこだわります。
知名度がないですから、外観でインパクトのある容器を選定するのです。
容器のインパクトから、顧客獲得へと繋げる。
そんなインパクトのある容器が、環境に配慮されてる・・・わけないですよね・・・。
逆に、プラの部分が多いような、環境に配慮していない、時代の流れに逆らうような容器を選ぶ場合もしばしば。
(実際、私は、そんなお客様に遭遇しています。)
 
 
 

これから業界として、どうするのか?

難しい問題です。
  • 優れた容器の素材の開発
  • 大手メーカーの牽引
これら2つが重要になってくるのではないかと考えています。
 
少しづつですが、容器の良い素材が出てきていると聞いています。
生分解性にも優れ、バイオプラスチックでもあるような素材です。
※生分解性とは、微生物などで分解されるプラスチック
バイオプラスチックとは、植物由来のプラスチックのこと
生分解性でかつ、バイオプラスチックというのは、かなり珍しい素材
ただ、プラスチックの需要と供給のバランスが保てません。
新しい素材が出てきても、それを大量生産するだけの設備がまだまだ整っていないのです。
これは時間がかかります。
そんなすぐに、何百万トン、何千万トンと、生産はできません。
 
大手メーカーに限らずですが、
詰め替え用やリフィル容器の採用などを行っています。
何もしていないわけではありません。
詰め替えやリフィルの登場で、廃プラ問題は、少しですが低減できています。
ですが、脱プラ、とまではいきません。
また、中小企業に至っては、まだまだが実情でしょう。
やはりここは、大手メーカーが牽引して、頑張ってもらい、
環境に配慮した商品じゃないと、我々(買い手)は買わないよ!
というくらいに、環境問題、環境意識を浸透させる必要があると思っています。
2020年3月、大手の花王さんが脱プラに参入してきました。
素晴らしいです。容器はまだプラのままですが、少しずつ脱プラへ向けて頑張っておられるようです。花王さんくらい大手になると、アイキャッチシールの削減だけでも、かなりの量が削減されると思います。
 
また、プラ容器を使用しない化粧品も色々あります。
下記商品がその一例になります。
 

他国の動向

世界の廃プラ問題

このプラごみ問題。
何も日本だけでどうにかするものでもありません。
地球規模で考えなければいけません。
欧州、アメリカ、アジアの国々
それらの地域は、どう対応しているのでしょうか。
 
欧州
化粧品の最先端、ブームの発祥の地ですね。
欧州での流れ、ブームは、必ず他国に派生します。
業界を牽引しているからでしょうか。
それとも、欧州への憧れでしょうか。
 
そんな欧州では、プラごみ削減対策として、
生分解性プラスチックへの代替えが進んでいます。
そしてさらに、生分解性プラスチックで、かつ、バイオマス由来に変えようとする動きもあります。
また、2021年までに、使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案まで可決されています。
すごいですね。
流石です。
欧州では、そういった問題に、市民の関心が高いのです。
廃プラ問題のみならず、地球温暖化とかも深刻で、北欧の地域は、かなり敏感なのでしょう。
その意識が、欧州全体に浸透しているのではないでしょうか。
そんな欧州、化粧品の中身の量り売りをスタートさせているのだとか。
いやー、驚きです。
また、大手化粧品会社ロレアルは、2020年から、紙容器、チューブの使用を開始するそうです。素晴らしい取り組みです。
 
アメリカ
ニュースでも話題になりましたね。
スターバックスのプラストロー廃止。
アメリカも、関心が高いようです。
が、欧州ほどではないのです。
そう、トランプ大統領。
自由奔放というか、わがままというか・・・。
アメリカ第一主義すぎます。
5Gでも、中国とやりあってましたからね・・・。
トランプ大統領は、環境問題にあまり関心がないみたいです。
それが証拠に
  • パリ協定(地球温暖化に対する協定)
  • 海洋プラスチック憲章
にも、脱退&署名していないのです。
 
あらゆる面で、世界をリードするアメリカは、環境問題にも一番に取り組んでもらいたいものです。
アメリカ政府は、無関心ですが、市民や企業はそうでもないみたいです。
色々なところで、脱プラに取り組んでいます。
市民、企業の圧を受けて、政府も重い腰を上げてもらいたいものです。
 
東アジア
アジアの意識はまだまだです。
特に市場シェアの大きい、日本、中国、韓国は、お寒い状況ですね。
関心がないわけではありませんが、行動している人は少ないでしょう。
それだけ、プラスチックというのは、革命的に便利なのです。
まして、環境配慮型プラスチックともなると、購買コストは上がります。
商品単価の値上げですね。
これもネックです。
この値上げに賛同できない方も多いのではないでしょうか。
 
 
 

最後に

化粧品メーカーだけの努力で、どうこうできるものでもありません。
メーカー側がいくら努力しようとも、買い手、お客様から理解されなければ、無意味なのです。
企業側の努力だけではなく、一般消費者もできることはあります。
 
今だけで良い、今が良ければそれで良い
という考え方は、できれば捨ててほしいです。
今も大事だが、未来も大事です。
次の世代のこと、考えてみませんか?
そう、SDGsの考え方です。SDGsについては、「【環境問題】SDGsと化粧品業界」という記事で書いています。
また昨今、クリーンビューティーを謳うコスメが登場しています。クリーンビューティーについては、「【クリーンビューティーって何?】化粧品業界、次なるトレンド!?」という記事で書いています。
できることから、少しずつ。
一人一人ができることなんて、たかが知れてます。
ですが、千人、万人、億人がやれば、どうなるでしょう。
きっと、色んなことができると思います。。
塵も積もれば山となる、です。
 
カフェでのコーヒー、プラ容器ではなく、マグカップにしてみませんか?
明日から、今日から、今からでも、廃プラ問題に目を向けて、取り組んでいきましょう。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
 
 
 
 
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