どうも、化粧品開発者のあひるです。
今回は、化粧品の基礎的なお話をしようと思います。
- エステルオイルとは、エステル化反応によって得られるオイル成分
- 質感は千差万別、さっぱりオイルもあれば、ペタッとオイルもある
化粧品に用いられるオイル成分の種類
化粧品に用いられるオイル成分を大別すると、5つに分類できます。
皆さん、分類できますでしょうか?
分類は、下記になります。
- 炭化水素油
- エステルオイル
- 植物油脂、植物オイル
- シリコーンオイル
- 高級アルコール
となります。
それぞれ、性質、特徴が異なります。
当たり前ですけどね(笑)
エステルオイル以外は、以前紹介していたかと思いますので、本記事では、エステルオイルについて少し掘り下げていこうかと思います。
エステルオイルの種類と特徴、配合目的
エステルオイルとは?なんでしょうか。
エステルオイルのエステルとは、エステル結合を意味します。
化学を習ったことがある方なら、聞いたことがあるのではないでしょうか。
エステル結合とは、「COO」のことを指します。下記構造がそれにあたります。
エステル化反応を用いて、エステル結合を持っている油性成分のことを、エステルオイルと読んでいます。
エステル化反応を行いますので、人の手によって、合成されています。ですが、ここが化粧品業界の面白いところ。エステル化反応を行いますが、反応前に用いる成分が天然由来成分だと、エステル化したオイルも天然由来成分として分類されます。
また、エステル化反応(化学反応)を行いますので、エステルオイルの種類は多岐に渡ります。
以下では、よく使用されるエステルオイルをいくつかご紹介していきます。
エチルヘキサン酸セチル
2-エチルヘキサン酸とセチルアルコール(セタノール)を用いて作られるエステルオイルです。
さらっとしたオイルであり、酸化安定性などに優れ、成分自体もお安いため、多種多様な化粧品に配合されています。
トリエチルヘキサノイン
グリセリンに、2-エチルヘキサン酸を付加して作られたのが、トリエチルヘキサノインです。
構造は、植物油脂のそれに似ていることから、合成油脂と呼ばれることもあります。
この成分も非常に安定性の高い成分となっており、様々な化粧品に配合されています。ベタつきがなく、肌への馴染みも良いものになっています。
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
グリセリンに、カプリル酸、カプリン酸が付加したものになります。トリ、なので、カプリン酸、カプリル酸から、3つ結合したかたちになります。
先程のトリエチルヘキサノインと似た構造を有していますので、安定性の高い成分です。植物油脂よりは、使用感の軽い感触になります。
また、用いられる素原料が天然成分であるため、ナチュラルコスメ、オーガニックコスメによく使用されます。
上記3成分とも、クレンジングオイルやクレンジングバームなどのメインオイル成分として配合されることが多いです。これらオイル成分自体に、メイクを落とすチカラ、馴染むチカラはそれほど強くはないですが、成分のお値段などから、これら成分が多用されている気がします。
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル
ジリノール酸(脂肪酸)とジリノイルアルコールとのエステル化反応で得られるエステルオイルです。室温において、ねっとりした質感を持つエステルオイルです。植物由来から作られているので、植物由来成分となります。ヘアケアなどに使用され、シリコーンの代替成分として、用いられることがよくあります。
エステルオイルの配合目的
エステルオイルを用いる理由としては、
- 品質、安定性
- 価格
- 乳化のしやすさ
などが挙げられます。
植物油脂、植物オイルと異なり、品質、安定性は格段に良くなりますし、価格も比較的安いことが多いです。
乳化ですが、これも植物油脂と比較してになりますが、乳化しやすい印象があります。
一方で、一般消費者への訴求が難しいのは、デメリットの一つかもしれません。上記で紹介した成分を訴求しても、なんか化学っぽい、合成っぽい感じがしてしまいますよね。
エステル化に用いる2種以上の成分の組み合わせで、凄まじい数のエステルオイルが存在し、その特徴も千差万別。さっぱりした質感のものもあれば、ねっとり、ぺっとりした質感もあり、なかなかに面白い成分です。化粧品とは、これら成分を上手に組み合わせ、最適な使用感を演出しているんですね。
最後に
エステルオイルについて、解説してみました。
ナチュラルコスメの需要が高まっていくについて、エステルオイルの需要もどんどん伸びている気がします。
前述した通り、エステルオイルは、天然由来成分からも作成できることから、ナチュラルコスメに用いるのに、ピッタリなんですね。
また、ミネラルオイルなどの鉱物油が嫌われる昨今、クレンジングオイルなどの主要オイル成分が、エステルオイルに切り替わっている商品が多くなっています。鉱物油よりクレンジング力がマイルドであり、植物オイルより価格がお安いので、よく使用されるようになっています。
エステルオイルがわかると、クレンジング選びも楽しくなるかもしれませんね。
他にも、化粧品成分に関する基礎的なことについて書いています。よければ、化粧品を理解する一助になれば幸いです。
また、個人的なランキングページも作成しています。ご参考程度に。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。