どうも、化粧品開発者のあひるです。
先日書かせてもらいました、化粧品の成分に関する基礎的にな記事。
今回は、その続編!
高級アルコールについて、お話しようと思います。
高級アルコールは、化粧品で用いられるオイル成分の一種です。
オイル成分は、大きく分けると、5つに分類されます。
- 高級アルコール
- 炭化水素油
- 植物油脂(植物オイル)
- シリコーンオイル
- エステルオイル
となります。
前回同様、化学をかじってない方にも、なるべくわりやすく伝わるようにしておりますので、どうぞ最後までお付き合いください。
高級アルコールとは
高級アルコール、聞き慣れない単語ですね。
これは化学用語、専門用語です。
高級な(高い)アルコールなのかと想像される方もいると思いますが、
実は全く違いますし、無関係です。
ややこしいネーミングですよね・・・。
専門用語と一般用語、結びつかないのは、よくあることですね(^_^;)
では、何が高級なのでしょうか?
その話をする前に、高級アルコールの反対語を考えてみましょう。
至って簡単!
高級アルコールの反対は、低級アルコールです。
また、新しい単語です。
低級アルコール・・・。
もちろん、安いアルコールって意味ではありません(笑)
低級アルコールは、皆さんよくご存知の成分です。
お酒(アルコール)のことですね。
アルコールは、化粧品の成分名で言うと、エタノールです。
先日お話しました、エタノール。
覚えておいででしょうか?
化学式は、こんなでしたよね?
これがなぜ、低級なのか?
ここで言う、低級とは、炭素の数のことを言います。
炭素とは、化学式で言う、「C」のこと
身近なものですと、鉛筆の芯、ダイヤモンドを構成するもの(原子)です。
(ダイヤモンドは身近じゃないな・・・。)
中学生くらいに、習った人も多いと思います。
低級アルコールとは、この「C」(炭素)の数が、5以下のアルコールのことを言います。
エタノールは、どうでしょうか?
炭素の数は、2個ですよね?
炭素数が5個以下なので、低級アルコールとなります。
その他に、
- プロパノール(炭素数:3)
- イソプロピルアルコール(炭素数:3)
- ブタノール(炭素数:4)
などありますが、主に化粧品として使用されるのは、エタノールが圧倒的に多いと思います。
ではでは、本題です。
高級アルコールとは、炭素数が6以上のアルコールのことです。
※化粧品業界では、炭素数が12異常を高級アルコールと呼んだりもします。
炭素数が増えるとどうなるの?
って感じですよね。
基本的に、
低級アルコール 水に溶ける
高級アルコール 油に溶ける
と理解してもらって良いです。
つまり、炭素数が少ないほど、水と仲良し
炭素数が多いほど、油と仲良くなるということです。
よく見かける高級アルコールとその特徴
ベヘニルアルコール
化学式は、これです。
長い・・・。
省略すると、
括弧()21とは、()の中が21個あるよー
ってことです。
炭素数は、22
固形の油性成分
よく、クリームなどに配合されてます。
クリームの固さを出すのに、一役買う成分です。
こういうのを、粘度調整剤と言います。
セタノール
炭素数は、16
化学式は載せていませんが、べヘニルアルコールの炭素数22が16になっただけの構造です。
こちらも固形の油性成分。
クリームよりは、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナーによく配合されます。
トリートメントの固さを出してくれます。
セタノールは、旧表示指定成分です。日本だけに通ずるものですが、特に気にするものでもないと思っています。略して、「旧表」と呼ばれますが、もはや死語かなとも思います。
ステアリルアルコール
炭素数は、18
固形の油性成分です。
クリームや、ヘアトリートメントに配合されます。
こちらも粘度調整剤ですね。
イソステアリルアルコール
炭素数は、18
液状の油性成分です。ステアリルアルコールは直鎖状アルコール(ベヘニルアルコールと同様)ですが、イソステアリルアルコールは、分岐したアルコールになります。
クリームやトリートメントなど、様々な化粧品に配合されています。
直鎖状アルコール(ベヘニルアルコールやステアリルアルコール)と異なり、粘度調整能はありません。
高級アルコールの配合目的
主な配合理由は、粘度調整のためです。
配合量を増やせば、それだけ固さも上昇します。
その他、高級アルコールを配合することで、界面活性剤の必要量を減らすことも可能です。
活性剤だけに頼る乳化ではなく、
活性剤+高級アルコール
で、乳化させる
そうすることで、活性剤による肌への負担を軽減することも可能となります。
乳化を補助する役割もあるので、乳化助剤と言われます。
あくまで助剤で、これ単体での乳化はかなり難しいです。
ただ、上述の特徴は直鎖状アルコールの場合です。
分岐状アルコール(イソステアリルアルコール)の場合、粘度調整作用はなく、油分のためだけになります。分岐状アルコールは、乳化しやすい側面もあります。炭化水素油に似ているところがありますね。
最後に
難しかったでしょうか?
簡単にまとめると、
- 高級アルコールとは、炭素数6以上のアルコール
- 主に油性成分
- 粘度調整剤(粘度調整の役割)
- 乳化助剤(乳化を補助する役割)
成分の特徴などを理解し、化粧品選びの一助になれば幸いです。
他にも、基礎的なことについて書いていますので、読んでもらえればと思います。
また、個人的な化粧品ランキングページも作成しています。良ければ御覧ください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。