あひるの化粧品と戯れる日記

化粧品開発者が化粧品やそれに関する知識、情報などを発信していくブログです。たまに無関係なことも書きます。

【化粧品の基礎知識】多価アルコールと抗菌作用

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どうも、化粧品開発者のあひるです。
しばらく書いてなかった「化粧品の基礎知識シリーズ」
今回は、以前説明した「【化粧品の基礎知識】多価アルコールの特徴と役割」をもう少し掘り下げてみようと思います。
具体的には、抗菌作用と多価アルコールについてです。
多価アルコールになぜ、抗菌性があるのか、説明していきたいと思います。
 
 
 
今回のポイント!
  • 多価アルコールには抗菌作用がある
  • しかし、抗菌性にも強弱がある
  • 抗菌メカニズムは、菌から水を奪うから
 
 

多価アルコールを思い出そう!

多価アルコールと抗菌性

多価アルコール、覚えていますでしょうか?
多価アルコールについては、「【化粧品の基礎知識】多価アルコールの特徴と役割」という記事で書いています。参考にしてみてください。
多価アルコールとは、水酸基(ヒドロキシル基)を2個以上持つ成分のこと。
グリセリン、BGがその代表例です。
エタノールは、多価アルコールではなく、低級アルコールですので、お間違えなく。
 
 
 

近年増えてきた多価アルコール

グリセリンBGといった多価アルコールは、随分昔から使用されていますが、これから紹介する多価アルコールは、近年その使用量が、使用される商品が増えてきた多価アルコールになります。
 
エチルヘキシルグリセリン

エチルヘキシルグリセリン

グリセリンの誘導体です。
グリセリンは、ヒドロキシル基(-OH)を3つ持っています。
エチルヘキシルグリセリンは、その3つの内、1つがエチルヘキシルに代わったものを言います。
グリセリンと同等の保湿能力を持ちながら、抗菌作用を持ち合わせた多価アルコールになります。
ちなみに、グリセリンに抗菌作用はほぼありません。
 
カプリル酸グリセリル

カプリン酸グリセリル

こちらも、グリセリンの誘導体です。
グリセリンの持つ、1つのヒドロキシル基(-OH)が、カプリル酸に代わった成分です。
エチルヘキシルグリセリンに似ていますが、炭素(C)が増えているため、こちらの方がより油に近い性質を持っています。
カプリル酸グリセリルも抗菌作用を持っています。
 
カプリリルグリコール

カプリリルグリコール

ペンチレングリコールを覚えていますでしょうか?
炭素数は、5でしたよね?
カプリリルグリコールは、その炭素数が8になったものです。
使用感は、ペンチレングリコール同様、さらっとした感じです。
ですが、抗菌性能はかなり高いものとなります。
基本的に、BGやペンチレングリコールといった、ヒドロキシル基(-OH)を2つ持つ多価アルコールは、炭素数が増えるにしたがって、抗菌性能も高くなる傾向にあります(理由は後ほど)。
ただし、抗菌性能が高くなるということは、皮膚刺激の懸念があることもお忘れなく。
 
1,2-ヘキサンジオール

1,2-ヘキサンジオール

こちらは、炭素数が6つです。
ペンチレングリコールと、カプリリルグリコールの間ってことですね。
当然、抗菌作用の強さも、
ペンチレングリコール < 1,2-ヘキサンジオール < カプリリルグリコール
となります。
 
 
 
 

多価アルコールが抗菌作用を持つ理由

どうして、多価アルコールは抗菌作用を持つのでしょうか?
そもそも、微生物や菌は、水がないと繁殖できません。
家にある食用油や、乾燥した食べ物って、カビとか生えないですよね?
※乾燥物は水分ゼロのものと、ゼロじゃないものがありますので、乾燥している=カビない、ではないです。
微生物が生きていくのに、水は必須です。
人間と同じですね。
ただし、その水は、微生物が自由に使えてこそ、意味があるのです。
多価アルコールは、微生物が自由に使える水を奪う能力があるのです。
少し大げさですかね。
多価アルコールは、水に溶けます。
溶ける際に、水と仲良しになるんです。
その仲良くなった水は、微生物が使うことができません。
つまり、多価アルコールがたくさん溶けている水に、微生物は繁殖させようとしても、微生物が使うことのできる水がない、少ないので、繁殖できないんです。
意味わかりますでしょうか?
 
炭素数が増えると、抗菌作用が強くなると書きました。
炭素数が増えれば増えるほど、性質としては、新油性(油と仲良し)に近くなります。
それを水に溶かそうとすると、大量の水が必要になるわけです。
例えばですが、
BG1%を水に溶かす場合、水が5%必要としましょう。
ペンチレングリコールでは、水が20%必要。
カプリリルグリコールでは、水が50%必要。
※あくまで例えですよ!
こんな感じで、多価アルコールを溶かすのに必要な水の量は、多価アルコールの炭素数に応じて変化します。
つまり、微生物が使える水の量もそれに応じて、増減することになります。
自由に使える水の量が減れば、微生物にとって生きづらい環境になります。
例え??

微生物をのび太に例えるなら、

多価アルコールは、ジャイアンでしょうか。

ジャイアン(多価アルコール)は、のび太(微生物)から、おもちゃ(水)を奪ってしまう感じです。

ジャイアンの機嫌(多価アルコールの炭素数)次第で、おもちゃ(水)を奪う量が変化するといった感じです。

余計、わかりにくいかな・・・。

多価アルコールが、抗菌作用を持っているのは、この性質があるからということです。
ちなみに、覚えなくていいですが、
  • 自由に使える水を、自由水
  • 何かを溶かすのに使われた水を、結合水
と呼んだりします。
 
 
 

最後に

多価アルコールと抗菌作用、少し専門チックで難しく感じた方も多いかもしれません。
少しでも覚えてもらって、ご自身の化粧品選びの手助けになれば幸いです。
防腐剤フリー化粧品は、数多く出回っていますから、ここでの知識を活用してもらえればと思います。
上記の多価アルコールが、全成分表示の最初(1〜4番目)らへんに表示されていたら、少し刺激を懸念するほうが良いかなと思います。
刺激に関する理由もあって、防腐剤フリーコスメを手放しでは喜べないところがありますね。防腐剤フリーコスメについては、「【化粧品のウソ、ホント】防腐剤フリーがいいの?」という記事で書いています。
 
また、化粧品の成分に関する記事は、他にも書かせてもらっています。良ければ読んでみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 
 
 
 
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