あひるの化粧品と戯れる日記

化粧品開発者が化粧品やそれに関する知識、情報などを発信していくブログです。たまに無関係なことも書きます。

【EUで規制】化粧品配合の環状シリコーンはどうなる?

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どうも、化粧品開発者のあひるです。

以前、シリコーンについて、「【今さら聞けない!】シリコーンは悪者なのか?」という記事で色々書かせてもらいました。

諸々事情が、世界の流れに変化がありましたので、書かせてもらおうかと思います。

 

 

 

 

結論

  • シリコーンは、化粧品として使用する場合は無害
  • 環状シリコーン(インバス系リンスオフ)は、食物連鎖の過程を経て、人に害を与える懸念がある

※インバスとは、風呂場で使用するヘアケア製品のこと。アウトバスとは、風呂場で使用しなくてもよいヘアケア製品のこと。

リンスオフとは、洗い流す製品のこと(ex:トリートメント)。リーブオンとは、つけっぱなしの製品のこと(ex:ヘアオイル)。

 

 

 

EUで環状シリコーンが規制

EU(ヨーロッパ)で、環状シリコーンが規制の対象となりました。

環状シリコーンは、

  • シクロテトラシロキサン(D4)
  • シクロペンタシロキサン(D5)
  • シクロヘキサシロキサン(D6)

()内は、略称です。

でしたよね?

 

これら3つの成分は、水系における生体影響への懸念があるとのこと。

欧州化学品規則(REACH:Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)により、2020年1月31日から、D4、D5を使用した(0.1%以上)、使用後、水で洗い流される製品の販売が禁止されるそうです。

 

 

 

日本でも規制の対象?

日本化粧品工業連合会(粧工連)からは、下記の通り、案内が出ています。

化学物質の審査及び、製造などの規制に関する法律(化審法と言います。)に基づく国内規制では、化粧品への直接の影響はないものと思われるが、EUの規制には、化粧品も対象に含まれています。今後も情報を収集するとしています。

 

その後、2017年12月に開催された、厚生労働省、経済産業省、環境省3省合同審議会において、D4、D5、D6に審議、D4、D6の2成分が、2018年4月2日付けで化審法に基づく監視化学物質に指定されています。

指定された理由は、

  1. 自然的作用による化学的変化を生じにくいもの(難分解性)で、かつ、生物の体内に蓄積しやすいもの(高蓄積性)であって、
  2. 継続的に摂取される場合、人の健康を損なうおそれ(人への長期毒性)があるか、あるいは、高次捕動物の生息又は、生育に支障を及ぼすおそれ(高次捕食動物への毒性)があるか明らかでない

この2点が理由です。

なお、D5に関しては、1に該当するが、2のおそれがないことが明らかとなったため、指定はされていません。 

 

指定はされておりませんが、EUで嫌われ者、というか、環境への懸念があるかもしれないとされた成分となっていますので、EUに限らず、日本国内でも、使用の自粛がものすごく進んでいます。

大手メーカーは、環状シリコーンの切り替えを色々としています。今後、化粧品市場で、環状シリコーンが配合された化粧品を見なくなる日が来るかもしれませんね。

 

 

 

水系における生体影響への懸念とは?

水系生物における生体影響とは?

ヘアケア系に配合されている環状シリコーンは、洗髪時に水とともに洗い流されます。

(メイクアップ系は、洗い流すのは、塗ってからだいぶ後なので、揮発しているのがほとんどです。)

その場合、揮発する前に流されてしまうので、浄水場へどんぶらこ、どんぶらこです。

適切な処理をされた後、河川へ流されますが、環状シリコーンは、河川まで流れてしまうんだとか。

その流れた環状シリコーンが、微生物に蓄積、その微生物を食すものへと蓄積、どんどん濃度が濃くなっていきます。

上記の過程は、食物連鎖の流れですね。

ただし、蓄積の懸念があるのは、河川の河口付近であり、河川から離れたところでは、蓄積に関する明確なデータは得られていません。

 

懸念がある=規制をかけるのが、EUです。

その流れを受け、日本でも色々と動きがなされていますね。

 

 

 

 

人体に対する影響は?

人体に対する直接的な影響はありません。

環状シリコーンは、経皮吸収しませんし、食べるわけでもありません。

化粧品として使用する分には、安全安心です。

ですが、食物連鎖の過程から、人に害を与える懸念が無きにしもあらずといったところです。

食物連鎖の過程うんぬんは、海洋プラスチック問題と繋がります。海洋プラスチック問題もかなり深刻ですね。それの影響か、2020年7月から、プラ袋有料化・・・。意味あるんですかね。パフォーマンスでしょ!!って声がチラホラ聞こえます(笑)

海洋プラスチック問題は、目に見える海洋ゴミが問題なだけではありません。

マイクロプラスチック(細かいプラスチック片、化粧品に使用されていた成分で、歯磨き粉や洗顔のスクラブ剤)もそうです。

マイクロプラスチックは、細かいため、それを食べることが可能な魚などに蓄積、生態系への影響が懸念され、その使用が禁止となっているのです。

そんな背景から、環状シリコーンも規制の対象となりました。

 

 

 

最後に

シリコーンは、人に対して、安全、安心は間違いではないです。

ですが、食物連鎖の流れから、影響がないとは言えません。

国外国内メーカーは、脱環状シリコーンに向けて、動いていますので、やがて、環状シリコーンを配合した製品は、ほぼなくなっていくでしょう。

ヘアケアに関して言えば、ほとんどがノンシリコーンです。幸いにも、シリコーンが嫌われていましたからね・・・。シリコーン嫌いの火付け役である「とある会社」は、最近倒産しましたが・・・。

 

どんな成分にも、メリット、デメリットがありますので、その辺りをよく理解して、化粧品を選んでもらえたらと思います。

成分に関する基礎的、基本的なことは、別の記事にしています。ご興味あれば、読んでみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

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